"平和の原点"を見つめ、この地球から核と戦争をなくしましょう。
このサイトは、埼玉県坂戸市で毎年行われる「ヒロシマ市民の描いた原爆絵画展」の記録を掲載しています。
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今年も原爆絵画展に参加して

今村英夫

 今村英夫さんは、被爆体験を語り続ける語り部のお一人です。

被爆体験を語る今村さん
被爆体験を語る今村さん

 異常気象・異常事件の多発する昨今、互いの主張を正当化しながらいたずらに争いを繰り返し、ややもすれば核兵器も平然と使用しかねない現代の風潮に、いささかの不安と激しい怒りを抱きながらニュースに登場する該当国やらの指導者に強い憎しみを覚えている自分自身にソフトに気づき、愕然とする今日この頃です。

 考えてみれば、その憎しみが大きな事件に、いや、戦争に発展していくのですネ・・。

 広島原爆被爆者として、ささやかですが、平和の大切さを訴えている私としては、たいへんに恥ずかしい思いの自責の念にかられています。無明な私としては複雑な心境です。

 いずれにしても人間のおろかさが、おのれの主義・主張のために争いを続けていくのでしょう。

 戦後61年、みせかけの平和の風吹く中、反戦・反核の声も小さく風化されている現代、もう一度戦後の原点に立ち返り、戦争の悲惨さを、悲しみを思いだし考えてみたいものです。

 でも、そんな中、今年の絵画展で私の心にポッと灯がともりました。
ボランティアでひとりの女子高生が一生懸命に活動していました。聞けば、絵画展を毎年開いて反戦・反核を訴え続けている団体に参加し、身をもって体験し、できれば将来もそのような活動をしていきたいということでした。

 この女子高生に出会えただけで、私としては今年の絵画展はたいへん意義のあるものになりました。暗い前途に何か明るい兆しを見つけた思いがしています。

 彼女のような人が成長し、戦争の愚かさを次世代に語り続けてくれる限り、やがて人類も物質的な発展と共に、精神的な発育も高揚され、何千年、いや何百年か後にはやがて争いごとのない、本当の平和が地球人をやさしく抱擁してくれるものと信じています。

 彼女に出会えて本当によかった・・・。 合掌